殿、利息でござる。という映画をみました。もう3年も前の作品ですね。タイトルとパッケージをみたところマネーゲームを絡めたコメディかと思えば、泣かせどころ満載のヒューマンストーリーでした。ま、わたしの映画評論は甘すぎで、「よかったよねー」といっても「そう?」と冷たくあしらわれるのが常なので参考にならないでしょうけども。それでもあえて言おう。これは見るべきだと。
ものすごく唐突ですが、目下、生き物の絶滅は地球史上6回目の大量絶滅じゃないかといわれるほどの勢いです。若いころに、これを何とかせねばならんと思った私は、必要なのは科学、特に生態学で、それを応用した技術だと思いこみました。生き物がどう生きているのかを知れば、適切な対応ができるのではないかと思ったわけです。
しかし、それは大きな間違いでした。生き物を守るためには生き物のことを考えていてもだめなのです。生き物ではなく、人間のことを考えねばならなかったのです。人間のことといっても、だれが悪いやつでどうやって懲らしめてやればいいのかとかではなく、人間がなぜそう行動しちゃうのか、どうして木を伐っちゃうのか、どうしてたばこを車で買いにいっちゃうのか?を考えないといけなかったのです。
たとえば、経済のグローバル化は、世の中でいろいろ問題を起こしてくれますが、グローバル企業で働いている人たちは毎日悪いことをしてやるぜと思っているわけではありません。企業内で出世し、より高い給料をもらったり自己実現するために毎日がんばってくれちゃっているだけです。彼らも家族を養わなければならないし、月末の請求の心配もせねばなりません。ただただ毎日を生きているだけです。
普通のひとが毎日やっとこさ生きているだけなのに、世の中がちょっとずつ住みにくくなる。地域によっては壊滅的に住みにくくなっているわけです。こんなときに、人びとがすることはSNSで愚痴って溜飲をさげるか、どうやったら仙人になれるか考えたりするわけですが、それでは何もかわりません。
そんなわけで映画にもどります。江戸時代、非常に困難な状態にある宿場町が舞台です。横暴な藩のやり方に町は疲弊しきっています。そんなときに、ふらりとやってきた最強の用心棒がばったばったと藩の役人を・・・なんてことはなく、現実的なプロセスに基づいて問題を解決しようとします。
あとは、映画を見て考えてみてよと思うんですが、思ったことをひとつだけ。
もし、何かを変えたい、何かをよくしたい、と思うなら、
それを動かしているシステムは何か?
について考えるべし。ということです。
昭和46年生まれ。神奈川県産。妻ひとり猫ひとり。高校時代は丹沢に通って荷揚げのバイトしていたおかげでカモシカのようだったが、それも昔の話。その後、生態学者を志し、大学でできるだけひとの役にたたない研究をしたいと思っていたもののかなわず今に至る。現在は、お米を生産する法人で働き、自然栽培米に関わっていたりする。IT企業でも数年働いており、そのときの経験を生かして、農業にIoTをDIYで導入する手伝いをしたいと思っている今日このごろ。また、生き物にはやさしいけど、ひとには冷たいよねという評価もあったりする。