昔、林学科の学生だったことがありまして(注)、林学科がある大学は、演習林という森林をもっています。そこで実習と称して遊びにいくわけなんですが、秋もすぎて冬になってくると、演習林の宿舎にたくさんお客さんがやってきます。それがカメムシです。彼らは、越冬するために建物の中に入ってくるのですが、ふだんあまり人がいない場所なのでわりとやりたい放題です。そんな場所へ、わたしたち学生がのほほんと泊まりにくるので、もちろん暖かく迎えてくれるわけです。
茶碗を持ってご飯を食べているとなんだかカメムシ臭い。ん?と思って茶碗の裏側をみるとやつがいたりします。また、「なんだか、自分の息がカメムシくさい」なんていうのもいて、「いや、もう、みなまで言うな」というようなことになったりします。
そんな青春時代だったわけですが、
「カメムシの卵が一斉に孵化する巧妙なメカニズムを発見 ―ある卵が割れた振動を合図にきょうだいの卵が孵化する」
という興味深いという研究が紹介されているのをみてそんなことを思い出しました。ちなみにこの研究の材料になっているクサギカメムシはまさにやつらのことだと思います。
研究内容は、まとまって産卵されているカメムシの卵が一斉に孵化するのは、振動をシグナルにしているのだ。というものです。詳しくはリンク先をみてもらえばいいと思いますが、ざっくりいうと、最初に孵化した卵が孵化するときのひじょうにかすかな振動をキャッチして他の卵の孵化し始めるということです。いわれてみればなるほどとも思いますが、振動といっても「かすか」なんてもんじゃないだろうにとも思います。
そういえば、昔、ナスの葉っぱか何かにアブラムシがいたのでゆびで払おうとしたことがあります。でもじっと動かない。でもそこへナナホシテントウがてくてくやってきたら、なんとアブラムシが逃げ始めるという光景をみたことがあります。こやつら、テントウムシの足音がわかるのか?とびっくりしました。
ほんと虫ってすごい。
注:林学科で入学しましたが、わたしの代から名前が変更になりましたが。林学科の方がとおりが良いのでそういっています