今年は暖冬ですが、それでも、うちで飼ってる白黒猫がふとんに入ってきます。今日も明け方ちかくに入ってきてお腹の上にのしのし上がってきてぐつぐついう。それはそれでかわいいんですが、下腹をおさえるので、重いわ、トイレに行きたくなるわ、まだ起きたくないわで大変です。そういえば、最近Youtubeで北海道の路上で猫を保護したお話で「全米が泣いた!」的な盛り上がりをしているそうですね。北海道というのは、本当に寒いところです。昔、道北地方のとある宿舎の周辺で、公衆電話を探して数十分うろうろしてただけで、「まずい、凍死する」と思ったことがあります。
これも昔話ですが、やはり寒い地方のある研究室におりまして(北海道ほどではない)、あるとびきり寒い朝、同じ研究室の学生がこちこちになった子猫をひろってきまして。「こりゃもうだめだろう」と思ったのですが、だめもとでストーブの真ん前においてやりました。幸いなことに、となりが動物の研究室。そこに獣医がいるので、やってくるなり、この猫なんとからならない?と言い聞いたら、彼女もやっぱり「これもう死んでるよ」といいます。
でも、彼女もちょっと思案して、研究室からカンフルを持ってきて注射。そしたら、なんと、みるみる生き返ってくるではないですか。ほんとか?カンフルすごいなと思いました (注) 。その後もいろいろ大変でしたが、たけしと名付けられ、しゅっとしたそれらしい猫になりました。奇遇ですが、件のYoutubeの猫もたけしだそうです。
こうしてこの件はめでたしめでたしだったのですが、ある人からは、「野生のいきものなんだから、そうやって死んでいくのを助けてはいられない」とも言われました。ま、確かにそうかもしれない。しかしそのあとつらつらといろいろ考えますに、もともともっと西の方の暖かい地域にいたこの動物がなんでこんな寒いところにいるのか?人間がつれてきたからじゃないかということに思い当りました。そうなってくると、そこいらの猫は、「野生」状態なのか、「飼われていない」状態なのか、むずかしいところです。もうこれは、わたしとその猫との関係ではなく、人類と猫との関係なわけで、どう筋目を通すかってことになってきます。まいったな。
とはいえすべての猫を助けることはたしかにできない。相手も望んでいるとは限らない。ひとりひとりその場その場で最善の選択をしていくしかないようです。
注:「カンフル」と呼んでいましたが、実際何の薬かはわかりません。
昭和46年生まれ。神奈川県産。妻ひとり猫ひとり。高校時代は丹沢に通って荷揚げのバイトしていたおかげでカモシカのようだったが、それも昔の話。その後、生態学者を志し、大学でできるだけひとの役にたたない研究をしたいと思っていたもののかなわず今に至る。現在は、お米を生産する法人で働き、自然栽培米に関わっていたりする。IT企業でも数年働いており、そのときの経験を生かして、農業にIoTをDIYで導入する手伝いをしたいと思っている今日このごろ。また、生き物にはやさしいけど、ひとには冷たいよねという評価もあったりする。