白鳥が空をゆく。この白鳥っていう鳥は、重さが10 kgくらいあって飛び立つのも降りるのもなかなか大変そうですが、飛びあがってしまえば、あんがい楽なんでしょうか。こんなおおきな図体で距離3000~4000 km、速度50 km/h以上でシベリアから飛んでくるのです。
白鳥さんたちは、9月ころシベリアを起ち、カムチャッカあるいはサハリン、北海道を経由して11月ころ本州各地へやってきて、また3月ころシベリアを目指して去っていく。一年の半分くらいは旅の空。じぶんも根の生えないタイプ(農業に向かない)なので、なんともうらやましい。
とはいえ、旅というのは2、3日ならちょっとした気分転換ですみますが、長くなってくるとそれなりの覚悟が必要です。まあ、おあしが十分なら快適かもしれませんが。白鳥さんたちの旅がどんなかは想像もつかないけれど、環境も変わってきていていろいろ大変だろうと思います。
ぼくらが、旅に出るときは、たいがいはわくわくしているものだけど、白鳥たちはどうなんだろう。季節が変わっていくのにつれて、気もそぞろになってくるのか、やむを得ず重い腰をあげるのか。勝手な思い込みにちがいないが、前者ならいいと思う。そして冬の逗留先であるこの国が心地よい場所でありつづけることを願っています。
昭和46年生まれ。神奈川県産。妻ひとり猫ひとり。高校時代は丹沢に通って荷揚げのバイトしていたおかげでカモシカのようだったが、それも昔の話。その後、生態学者を志し、大学でできるだけひとの役にたたない研究をしたいと思っていたもののかなわず今に至る。現在は、お米を生産する法人で働き、自然栽培米に関わっていたりする。IT企業でも数年働いており、そのときの経験を生かして、農業にIoTをDIYで導入する手伝いをしたいと思っている今日このごろ。また、生き物にはやさしいけど、ひとには冷たいよねという評価もあったりする。